初心者にもオススメ! モダン 奇襲隊レッド デッキ解説

上機嫌の解体
つよい

プレイヤーズコンベンション横浜2023のモダンオープンを目前に控え、握るデッキを模索していた ある日のこと、 twitter にて以下のような tweet を たまたま 見かけた。

www.hareruyamtg.com

「奇襲隊レッド」というカテゴリ名で晴れる屋デッキ検索に掲載されていた そのリストを見たとき、「これはやれるのではないか」と直感した。
これが筆者と奇襲隊レッドの出会いである。


というわけで、今回はモダンの奇襲隊レッドというデッキについて、軽くデッキを紹介しようと思う。
このデッキを握ってモダンオープンに殴り込んだ筆者は、開幕4連勝し、流石に中盤からは失速したものの、最終成績6−4という そこそこの好成績を残すことができた。
筆者はモダンに詳しいわけでもなく、自分で気がついた範囲でも大量のミスプレイをしていたにも関わらず、このような成績を残せた以上、
もちろんマッチング運や わからん殺しなどの要素は否定できないが、デッキ自体の地力も高いのではないと考え、ここで紹介させてもらうことにした次第である。


奇襲隊レッドとは どんなデッキか?

筆者がモダンオープンに持ち込んだのは、以下のようなレシピだ。

www.hareruyamtg.com

このデッキ ――晴れる屋のカテゴリ名に倣って「奇襲隊レッド」と筆者は呼んでいる―― は、ファイレクシア:完全なる統一 発売後のモダンで成立したゲートウォッチの誓い発売後のモダンで成立し、ファイレクシア:完全なる統一で《上機嫌の解体》を得て大幅に強化されたコンボビートデッキである。
動きは至って簡単。 まず0〜1マナの軽量アーティファクトを展開し、それをコストに3体のゴブリン・トークンを生成するカード(《カルドーサの再誕》《上機嫌の解体》の2種8枚、この記事では以降「カルドーサ」と呼称する)で大量のトークンを生成する。 そして自軍のクリーチャー全体に+1/+0修正と速攻を与えるカード(《ゴブリンの奇襲隊》《無謀な奇襲隊》の2種8枚、この記事では以降「奇襲隊」と呼称する)で強化し攻撃。 残ったライフはトークンや奇襲隊がゴブリンであることを活かし《ゴブリンの手投げ弾》で相手の顔面に投げつけライフを削り切る。 そんなデッキだ。

ミシュラのガラクタメムナイト
0マナアーティファクトたち
カルドーサの再誕上機嫌の解体
アーティファクトトークンに変換するカードたち
ゴブリンの奇襲隊無謀な奇襲隊
全体強化と速攻付与

キルターンは妨害なしの場合3〜4ターン。 トークンが横並びするという特性上、単体除去やブロッカーに対しては滅法強く、奇襲隊からの総攻撃で削りきれなかったとしてもトークンへの対処を相手に強いることができ、対処できなければ残り数点を削りきって勝てるし、ブロッカーを立てられても《稲妻》《ゴブリンの手投げ弾》といった飛び道具で仕留められる。
また、キーカードが全てコモンやアンコモンであるため、モダンのデッキとしては比較的安価であることも このデッキの魅力の1つだ。
弱点は「アーティファクト」「カルドーサ」「奇襲隊」そして それらを唱えるための「土地」を揃える必要があり、マリガン頻度が高くなりがちな点。 にも関わらずリソースの回復手段に乏しいため、緑トロンのように「妥協せずにマリガンを重ねてベストハンドでキープする」といったことが難しく、どこで妥協するかの非常に難しい判断を強いられる点。 また1/1のクリーチャーを並べるため《激情》などの割り振り火力や《紅蓮地獄》などの全体火力に弱い点、またカードの役割がはっきりしているためピーピングハンデスで大きく減速させられてしまう点などが挙げられる。


各カードの解説

《カルドーサの再誕》

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キーカードその1。 アーティファクトを生け贄に捧げてゴブリン・トークンを3体出す。
アーティファクトの生け贄は追加コストであるため基本的には打ち消しに弱いが、打ち消されたとしても《彩色の星》《実験統合機》といったアーティファクトの死亡誘発を確実に誘発させられるという側面もあるため、次に紹介する《上機嫌の解体》とは相互互換である。

《上機嫌の解体》

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キーカードその2。 アーティファクトを破壊してファイレクシアン・ゴブリン・トークンを3体出す。
こちらは対象を取って破壊しているため、打ち消された場合には対象のアーティファクトはそのまま残るが、一方でスタックして対象のアーティファクトを破壊された場合には立ち消えしてトークンが出ない。 《カルドーサの再誕》と《上機嫌の解体》の両方がハンドにあってどちらを唱えるかを選べる場合は、相手がアーティファクト除去を構えていそうなら《カルドーサの再誕》を、相手が打ち消しを構えていそうなら《上機嫌の解体》を、それぞれ選ぶといい。
また、このカードは対戦相手のアーティファクトを破壊することも可能である。 その場合トークンは出ないが、アミュレットタイタンの《精力の護符》といった致命的なアーティファクトをメインから対処できるのは大きな強みであるため、忘れないようにしたい。(筆者は忘れてアミュレットタイタンとのマッチアップを落としている)。

《ゴブリンの奇襲隊》

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キッカーすることで全体に+1/+0修正と速攻をばらまくゴブリン。
このデッキの爆発力に関わるカードだが、実はそこまで優先度は高くない。 初手になくても後から引けば機能するカードだからだ。
キッカーしないことで1マナ1/1のクリーチャーとして運用できることは忘れないようにしたい。 1マナしか残ってない状態で《実験統合機》でめくれた場合や、2マナしか残っておらず戦場にゴブリンがいない状態で《ゴブリンの手投げ弾》と一緒にハンドにあって相手のライフが5以下の場合などで差が出る。

《無謀な奇襲隊》

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怒涛コストで唱えることにより自分以外に+1/+0修正と速攻をばらまくゴブリン。 こいつ自体も速攻を持っていて、かつ基本サイズが2/1なので、怒涛コストで唱えられるならゴブリンの奇襲隊とほぼ変わらない使い勝手になる。
基本的には5枚目以降の《ゴブリンの奇襲隊》といった立ち位置のカードになる。 怒涛コストで唱えるための最初の呪文を用意するのは意外と大変で、ハンドがないときにトップすると悲しいことになる。
このカードを意識して《ミシュラのガラクタ》や《メムナイト》といったカードを手札に温存することも多いが、ガラクタで得られたはずのドローやメムナイトを場に出すことで殴れたはずのダメージを犠牲にしているのが辛い。
一応 素のサイズが2/1なので《ゴブリンの奇襲隊》の下位互換にはなっていない。 一応は。

《ミシュラのガラクタ》

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モダンやレガシーで大活躍している0マナアーティファクト。 カルドーサのコストとして使うこともできるし、ドローに変換することもできる、器用なカードである。
土地の枠にフェッチランドが採用されているのも、このカードがあるためだったりする(ガラクタ、山、フェッチランドと手札に揃ってる場合、土地を置く前にガラクタを出して対象自分に起動すれば、欲しいカードなら山を置くことで欲しいカードを引けるし、欲しくないカードならフェッチを置くことでライブラリーをシャッフルして新鮮なカードを引ける)。

《メムナイト》

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0マナ1/1バニラのアーティファクト・クリーチャー。 カルドーサのコストとしても殴り要員としても使えるカードである。
《無謀な奇襲隊》を怒涛コストで唱えるための種として非常に優秀だし、そうでなくても奇襲隊と組み合わせれば速攻で殴って相手のダメージ計算を狂わせられるので、手拍子に1ターン目に出す前にちょっと考える癖をつけたい。

《ヴォルダーレンの美食家》

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1マナ1/1、出たときに相手に1点飛ばしつつ血・トークンを生成するクリーチャー。
カルドーサのためのアーティファクトを用意しつつ殴り要員になれる非常に優秀なカードである。 ダメージも地味ながら嬉しい。
血・トークンによるルーティングもなんだかんだで使うので、マナフラッドしているときは土地をハンドに残しておくと良い。

《彩色の星》

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戦場から墓地に置かれたときに1ドローできる1マナのアーティファクト
自身を生け贄にしたマナフィルター能力も持っているため単独でカードを引くこともできるが、基本的にはカルドーサのコストとして使いたい。

《実験統合機》

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戦場に出たときと戦場から離れたときに1枚衝動ドローできる1マナのアーティファクト
戦場に出たときの衝動ドロー、カルドーサもしくは自分の能力で生成するトークン、戦場を離れたときの衝動ドローと、うまく回れば1マナとは思えないアドを稼いでくれる。
一方で1ターン目に出して2ターン目にカルドーサで生け贄にした場合、戦場に出たときの衝動ドローは0マナカードがめくれない限りは無駄だし、生け贄にしたときの衝動ドローも土地かカルドーサ以外で1マナ以下のカードがめくれない限り無駄になる*1ため、《彩色の星》より弱く感じることも多い。

《ゴブリンの手投げ弾》

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ゴブリンを生け贄にして好きな対象に5点飛ばせる1マナソーサリー。
インスタントではない点やゴブリンがいないと使えない点など、不便な点もあるが、それでも1マナ5点火力は破格。
基本的には対戦相手を対象にして最後の詰めとして使うが、放置できないクリーチャーやPWがいるならそれを対象に使えることも覚えておきたい(筆者は忘れて《イリーシア木立のドライアド》を除去しなかった結果としてアミュレットタイタン相手のマッチアップを落としている)。

《稲妻》

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説明不要の1マナ3点火力インスタント。
この枠は《爆片破》を採用しているリストも多いが、1マナと軽く《無謀な奇襲隊》を怒涛コストで唱えるための種としても使える点、《爆片破》ではコストとなるアーティファクトを用意するのが意外と大変な点などから、筆者は《稲妻》を採用している(あとお気に入りのプロモカードが使えるので)。

《血染めのぬかるみ》

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フェッチランド。 《血染めのぬかるみ》である理由は、たまたま筆者の家に4枚あったからである。
主に《ミシュラのガラクタ》と組み合わせて疑似占術として使う他、若干ながらデッキ圧縮にもなるため採用されている。
とはいえ必須枠ではないので、予算を抑えたいなら この枠は《山》にしてしまっても致命的ではない。

《灼陽大峡谷》《エンバレス城》《反逆のるつぼ、霜剣山》

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特殊土地。 この辺は好みによるので、まとめて紹介する。
《灼陽大峡谷》はドローに変換できる土地ということで採用。 あと筆者はタップインする土地が嫌いなためである。
《エンバレス城》は全体強化が強力だが、テンポ的に起動機会はそこまでないし、初手に複数枚くるとタップインする可能性が出てくるため1枚のみの採用。
《反逆のるつぼ、霜剣山》はたまに最後のひと押しになってくれるので採用。 あと筆者はタップインする土地が嫌いなためである。
これらの他には《バグベアの居住地》も有力な候補であり、《ゴブリンの手投げ弾》の種として使えるゴブリンを用意できるのは強力だが、起動に実質5マナかかるのと、筆者はタップインする土地が嫌いなため、3枚目の土地が欲しいときにトップデッキするとストレスの原因になるため不採用である。

《山》

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マジック最強カードの片割れ*2
ぶっちゃけ土地は全部《山》でもそこまで弱くならない。 安価に組みたいなら思い切って全部《山》にしてしまうのも手。

《湧き出る源、ジェガンサ》

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相棒。 たまたま相棒条件を満たしているので入ってるだけで基本的には空気。
空気過ぎて手札に加えられる時でも忘れられてるケースがしばしばある。
《激情》をサイドから使う場合には相棒として使えなくなるので注意が必要(このデッキには《激情》は入ってないけど)。

《破壊放題》

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複製付きの1マナアーティファクト破壊ソーサリー。
主にX=1の《虚空の杯》を割るために使われる(本体は《虚空の杯》で打ち消されるが、複製で生み出されたコピーは《虚空の杯》では打ち消されないため、X=1の《虚空の杯》に対しても有効である)。
この枠は《虚空の杯》だけを見るなら《粉々》に変えても良い。 好きな方を使おう。

《真髄の針》

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指定したカードの起動型能力を封じる1マナアーティファクト
主に指定されるのは《仕組まれた爆薬》であり、《仕組まれた爆薬》(もしくは《漸増爆弾》)が入る可能性のある全てのデッキに対してサイドインされる。
このカードの有無で勝率が劇的に変わるので、最低でも3枚は確保するべきである。

《月の大魔術師》

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《血染めの月》を内蔵した3マナ2/2のクリーチャー。
特殊土地対策として投入される。 《血染めの月》でない理由は、《耐え抜くもの、母聖樹》などの置物対策で割られない利点が大きいため。 生物に対する除去は効いてしまうが、単体除去を使ってくるデッキに対しては奇襲隊レッドは基本的に相性いいはずなので問題ない。

《黄鉄の呪文爆弾》

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プロテクション(赤)対策…だと思う。
参考にしたデッキ全てに入っていたので「そういうもんか」と思って投入しているが、正直あまり使ったことはない。

《引き裂かれし永劫、エムラクール

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ライブラリアウト対策。 手札に来ても血・トークンで捨てられることは覚えておこう。


サイドボードプラン

筆者がモダン環境に明るくないため、具体的に「このデッキにはこうサイドボーディングする」という例を示すことはできないが、大まかな指針だけ記しておく。

まず大前提として、《仕組まれた爆薬》ないし《漸増爆弾》を採用している可能性のあるデッキに対しては、必ず《真髄の針》をサイドインすること。
最悪でも1マナファクトとしてカルドーサのコストに充てられるので腐る心配は無い。

その上で、相手に劇的に刺さるカードが有るならサイドインしよう。
ただし入れ換え過ぎはご法度である。 このデッキの強みはブン回りにあるので、基本的にはサイドチェンジは最低限にしたほうが勝率は良い。
そもそも、ドロソもなく、マリガン基準も厳しいデッキなので、サイドカードを探している余裕はほぼないことは認識しておいたほうがいい。

抜くカードは、相手のデッキのゲームレンジを見て考えるのが良いと思われる。

早いデッキなら《実験統合機》は強く使えないのでサイドアウト候補になる。
消耗戦になりそうなデッキの場合は《無謀な奇襲隊》を強く使えないので枚数を減らして良い。
ただ、どちらにせよ、4枚全部抜くのは「やりすぎ」であるため、その上で《ミシュラのガラクタ》《彩色の星》《メムナイト》といったアーティファクト類の枚数を少しずつ減らすのが良いと思われる。

(筆者はこの辺あまり自信がないので、「こうサイドボーディングするのが良いよ!」という意見があればコメント頂きたいところである。)


このデッキをカスタマイズするなら

安価にしたいのであれば、土地を全て《山》にしてしまっても大きな問題はない(ただし、《エンバレス城》が入ってない場合に限り、1枚は《反逆のるつぼ、霜剣山》に変えることでデメリット無くデッキを強化できることは覚えておこう)。

土地は17枚がおそらく適正なので、枚数はいじらないほうが良いと思われる。 16枚まで削っているレシピも見かけるが推奨はできない。 種類に関しては、フェッチ4枚と山8枚までは(資金に余裕があるなら)恐らくは固定で、残りの5枚をどう割り振るかに好みが出てくる。 筆者のレシピは一例なので鵜呑みにはしないこと。

お金に余裕があるなら《敏捷なこそ泥、ラガバン》を採用するのも一つの手である。 宝物という形でアーティファクトを供給してくれるし、1マナ生物は《無謀な奇襲隊》の怒涛の種として優秀である。疾駆で出せば手札に戻る点も《無謀な奇襲隊》と相性がいい。

サイドボードは、筆者がモダン環境をあまり理解していないため、おそらくは練りきれていないと思われる。 好きにカスタマイズして構わない(ただし《真髄の針》は残そう)。


他のデッキを使っていて奇襲隊レッドと当たったときに意識したいこと

《ゴブリンの手投げ弾》は常にケアしよう。 除去するならゴブリンを優先すべきだし、ライフが5点以下は敗北直前という認識を持つべきである。

アーティファクト破壊はあまり効果がない。 コンボパーツの中でもアーティファクトは特に大量に入っているので、全部を除去するのは まず無理である。 一応《上機嫌の解体》に対してはスタックで対象となったアーティファクトを破壊することでトークン生成を立ち消えさせられるが、《カルドーサの再誕》に対しては無意味である。

逆に効果があるのは《激情》や軽い全体除去、ピーピングハンデスなどである。 ただしハンデスは速度を遅らせるだけなので、遅らせている間に勝ちきれるようなデッキになっている必要がある。

《仕組まれた爆薬》《漸増爆弾》はあるならサイドインしよう。 奇襲隊レッド側も対抗して《真髄の針》を入れてくるが、毎回引けるわけではない。

単体除去は意外と仕事をする。 デッキにもよるが減らしすぎないほうがいい。 カルドーサを複数枚引かれていると単体除去は無意味だが、そうでなければ効果はある。

どうしても奇襲隊レッドに勝ちたいならラクドス想起を握ろう。 奇襲隊レッドを使ってる側からすると、ラクドス想起は正直無理である。

*1:0マナアーティファクトが手札にあるならカルドーサがめくれても有効牌になるが、0マナアーティファクトがあるなら1ターン目に出してカルドーサでトークンに変換した方が強いため、カルドーサがめくれて有効牌になるような状況は「実験統合機を出した次のターンに0マナアーティファクトをトップデッキした」場合だけになる

*2:もう一つは《島》

NEO環境末期におけるスタンURデルバーの現状解説

前回: https://gintenlabo.hatenablog.com/entry/2022/02/21/041542
基本的な解説: https://gintenlabo.hatenablog.com/entry/2022/02/09/215915

M:tGの新弾、ニューカペナの街角のフルスポイラーが発表され、今週末にはプレリリースが控える今日このごろ、いかがお過ごしだろうか。
今回は新カードの参入により環境が変わる直前ということで、現段階で筆者が回しているスタンダード青赤デルバーの現状を解説させていただこうと思う。
拙い部分もあるだろうが、最後までお付き合いいただければ幸いである。

現状のデッキリスト

Deck
1 Island (BFZ) 255
1 Mountain (BFZ) 265
4 Stormcarved Coast (VOW) 265
4 Shatterskull Smashing (ZNR) 161
4 Sea Gate Restoration (ZNR) 76
4 Jwari Disruption (ZNR) 64
4 Spikefield Hazard (ZNR) 166
4 Riverglide Pathway (ZNR) 264
4 Delver of Secrets (MID) 47
4 Spectral Adversary (MID) 77
2 Reckoner Bankbuster (NEO) 255
3 Bloodthirsty Adversary (MID) 129
4 Expressive Iteration (STX) 186
2 Hall of Storm Giants (AFR) 257
3 Roil Eruption (ZNR) 155
2 Abrade (AKR) 136
2 Heated Debate (STX) 106
2 Negate (ZNR) 71
3 Disruption Protocol (NEO) 51
3 Discover the Impossible (NEO) 50

Sideboard
2 Negate (ZNR) 71
1 Test of Talents (STX) 59
2 Burn Down the House (MID) 131
2 Dissipate (MID) 49
3 Dreamshackle Geist (VOW) 58
1 Abrade (AKR) 136
2 Hullbreaker Horror (VOW) 63
2 Memory Deluge (MID) 62

https://gist.github.com/gintenlabo/7349b30998eb1351e6853994b434d87c/e0daf4cde26f8d34334f9d4d8421ab1399fa8120


概要

基本的なコンセプトは先の記事で解説したときと変わっておらず、

  • 《秘密を掘り下げる者》(以下デルバー)を速やかに変身させることによる速攻
  • 《幽体の敵対者》(以下青敵対者)と《血に飢えた敵対者》(以下赤敵対者)、《ストーム・ジャイアントの聖堂》をフィニッシャーに据えた長期戦

この両方を見据えたアグロ・コントロールデッキである。

強みとしては速攻と消耗戦という2つの速度に対応していて柔軟に立ち回れる点、
弱みとしては どちらのプランを取るにしても中途半端になりがちで、どちらかに特化したデッキのカードパワーに押されて負けるケースが多い点が挙げられる。

それでは、採用されている各カードを見ていこう。

土地基盤

1 島
1 山
4 河川滑りの小道
4 嵐削りの海岸
2 ストーム・ジャイアントの聖堂

ここは先の記事で紹介したものと変わらず固定である。
色マナ安定のために2種8枚の二色土地は必須だし、基本土地がないと《廃墟の地》等に弱くなる。
また、コントロールプランのために《ストーム・ジャイアントの聖堂》は2枚必要だ。

4 海門修復
4 髑髏砕きの一撃
4 ジュワー島の撹乱
4 棘平原の危険

ここも変化ない。
スペルランドの水増しとして《ヴァラクートの覚醒》等を入れることも考えたが、枠が足りずに不採用になった。

クリーチャー

4 秘密を掘り下げる者
3 血に飢えた敵対者
4 幽体の敵対者

ここも変化なし。 飛行クロックであるデルバーと青敵対者は4枚固定。 いつ引いても嬉しいカードだ。
赤敵対者は2マナ2/2速攻として運用するのがあまり強くなく、序盤に引きすぎると手札で腐りがちなので3枚に抑えられている。

妨害

(4 棘平原の危険)
3 乱動の噴火
2 削剥
2 白熱する議論
(4 髑髏砕きの一撃)

除去枠。 枚数が少し控えめになっているが、これはドロソで探すことを前提としているからである。
アグロ相手に除去が間に合わずに負けることも多いため、ここはもう少し増やす必要があるかもしれない。

(4 ジュワー島の撹乱)
2 否認
3 攪乱プロトコル

カウンター。 《否認》は対象を選ぶが、現状のスタンでは刺さらない相手がほぼ皆無なので問題なし。
《攪乱プロトコル》は後述する《勢団の銀行破り》《不可能の発見》の両方とシナジーするナイスカウンター。
ただ3枚は少し多いかもしれない。除去に差し替えたほうが安定しそうである。

ドローソース

4 表現の反復

言わずと知れた最強ドロソ。 青赤を使う理由の殆どはこれにある。
ただ、「アグロ相手に序盤にあまり引きたくないカード」ではあるため、アグロが多いようなら採用枚数を減らす必要があるかもしれない。

2 勢団の銀行破り
3 不可能の発見

神河からの新カード。 どちらも《攪乱プロトコル》とシナジーする。
ゆっくりとだがアドが取れフィニッシャーにもなる《勢団の銀行破り》は対コントロールで輝く1枚で、
2マナで《攪乱プロトコル》を構えられ、相手の動きがない/打ち消す必要が薄い場合には構えた2マナでドローできる良カード。
アドこそ取れないが状況に応じたカードを探しやすい《不可能の発見》は、追放したカードが《攪乱プロトコル》なら追加コストを支払って即座に唱えられるのが便利である。

(4 海門修復)

一応ドロソ枠には入るが、ドロソとして使われることはほぼ無い。

サイドボード

2 否認
1 才能の試験
2 雲散霧消

追加のカウンター。 少々厚く採りすぎな気がしないでもない。

1 削剥
2 家の焼き払い

追加の除去。 少々枚数が少ない気がする。

2 記憶の氾濫

追加のドロソ。 メインに無いのは、4マナと重いため、下手に撃つと《放浪皇》を通してしまう危険性があるからである。

3 夢鎖の霊
2 船砕きの怪物

追加の生物。 《夢鎖の霊》はアグロに、《船砕きの怪物》はコントロールに入れる。
アグロ相手の《夢鎖の霊》は、除去されなければダメージレースで ほぼ勝てるカードなので3枚必須。
一方で《船砕きの怪物》は、これでないと対処できない生物がいるためサイドに入れてあるが、サイドイン率は低めである。

採用されなかったカード

ヴァラクートの覚醒

追加の土地兼ドロソ。
土地が伸びることが嬉しいこのデッキでは ほぼ土地として運用されるため、そこまで強くはない。
一応、コントロール相手のメイン戦で腐った除去を有効牌に換えられるのは評価できる。
メインの除去を増やす場合には採用を検討してもいいかもしれない(が、枠があるかは微妙である)。

消えゆく希望

現行の環境でバウンスが強くないため抜けた。《記憶の氾濫》がサイドに移った関係でアド損が辛い。

プリズマリの命令

枠がなくて抜けたが、環境次第では普通にサイドに入るカード。

炎の排出

X火力が必要なら。 青敵対者や赤敵対者と相性がいいのは魅力。
赤敵対者から唱えた場合にも2点入る(赤敵対者にカウンターが先に乗るため)のは偉い。

呪文貫き

速攻プランをバックアップするカウンターとしては最強クラスだが、魂力に無力な点、
また消耗戦でトップしたときに絶望的に弱い点を加味して不採用に。
《プリズマリの命令》や《ヴァラクートの覚醒》などで有効牌に換えられるなら採用も検討できるか。

ニューカペナの街角で採用を検討しているカード

とんずら

一見入りそうに見えるが、打点の上乗せには基本ならないし、攻撃クリーチャーを守ったときにダメージレースで不利になるのが痛い。
一応、相手のブロッカーを一時的にどかす目的でも使えるため、完全に腐ることは無いのが救いか。

かき消し

このデッキでは ほぼほぼ《火消し》だが、早い環境では入れたほうがいいケースもあるかもしれない。

断れない提案

終盤に引いて腐らない《呪文貫き》というと聞こえはいいが、序盤に使うと相手に利益を与えすぎてしまうのが痛いか。

警備の抜け道

ルーティングしつつクリーチャーを継続的に強化できるのは強い。 スペルランドを多く採用しているこのデッキにも合っている。
これを採用するなら、デッキ内容をより速攻よりにするべきか。

絞殺

2点インスタント火力と競合するが、アグロが増えた場合に採用を検討できそう。
《不可能の発見》との相性が悪いのがネックか。

スタンURデルバーの神河:輝ける世界でのアップデート案

Magic: the Gathering の新エキスパンション、神河:輝ける世界(以下ネオ神河)が発売され、紙の大会でも使えるようになった。

そこで今回は、先日紹介したスタンダード青赤デルバー https://gintenlabo.hatenablog.com/entry/2022/02/09/215915 について、
新しいスタンダード環境で採用した、あるいは採用を検討しているカードを挙げていこうと思う。

なお、ここで挙げていくカードは、ネオ神河の新規カードに限らず、
今までは使っていなかったが環境の変化で採用を検討できるようになったカードも含まれる。

まだ思考が整理できてないので乱雑なメモになってしまうが、それでも構わなければお読みいただけると幸いである。

参考までに、上記の記事でも紹介しているが、ネオ神河参入前のデッキリストを掲載しておく。

土地 12
1 島
1 山
4 河川滑りの小道
4 嵐削りの海岸
2 ストーム・ジャイアントの聖堂

スペルランド 16
4 海門修復
4 髑髏砕きの一撃
4 ジュワー島の撹乱
4 棘平原の危険

クリーチャー 11
4 秘密を掘り下げる者
3 血に飢えた敵対者
4 幽体の敵対者

呪文 21
3 消えゆく希望
3 乱動の噴火
1 安堵の火葬
4 表現の反復
2 白熱する議論
1 悪魔の稲妻
2 襲来の予測
3 記憶の氾濫
2 家の焼き払い


サイドボード 15
2 否認
1 才能の試験
2 洗い落とし
2 バーニング・ハンズ
3 削剥
3 夢鎖の霊
2 船砕きの怪物

gist.github.com


《呪文貫き》

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再録された1マナのカウンター。 クリーチャー以外の呪文に対して2マナを要求し、支払えなければ打ち消す。
1マナという軽さが魅力で、今まで相手の呪文を打ち消すには2マナ以上必要だった*1のだが、
これを採用すれば たった1マナ構えるだけで相手の妨害を行うことができるようになる。

構える側にとっても支払わせられる側にとっても、1マナと2マナの差は大きく、
使われる側は相手が1マナ立たせてるだけで打ち消される可能性を考えなければならず、
かつ、ケアしようと思っても、2マナ浮かせて行動するのは特に序盤においては致命的な遅れになるため、
妨害としての信頼度は見た目以上に大きい。

一方で弱点も多く、マナが余ってくると とたんに妨害としての性能が落ちるし、
そもそもクリーチャーや魂力には無力である。
基本的にこのカードは序盤に引きたいカードだが、序盤に引くために採用枚数を増やした場合、
クリーチャーを主に採用している相手と対戦した場合やゲーム終盤で引いた場合に手札で腐ってしまうリスクがある。

とりあえず現状ではメインデッキに3枚ほど採用して試している。

《勢団の銀行破り》

mtg-jp.com

2マナ4/4搭乗3の機体であり、2マナとタップでカードを引ける能力を3回まで起動できるカード。 3回目は操縦士トークンと宝物がついてくる。

書いてあることが割と滅茶苦茶である。 マナはかかるものの3ドローでき、かつ搭乗要員を自前で用意できるという大盤振る舞い。
ドローはインスタントタイミングで行えるので、カウンターや除去を構えたいURデルバーにはもってこいの一枚である。
また色拘束が存在しないことも、色事故しやすいURデルバーには嬉しい。

強いて弱点を挙げるとすれば、複数枚 重ね引きしたときに弱い点と、デルバーを変身させられない点。
また、生成した操縦士トークンが除去されてしまった場合に搭乗要員を確保しにくいことが挙げられる。
(デルバーは出たとき1/1なため搭乗要員にはなれないし、赤と青の敵対者は速攻と瞬速を持っているため搭乗要員としての魅力は少ない。)
また、アーティファクト除去は環境に溢れているため、ドロソとしての確実性はそこまで高くない。
(それでも1枚でも引ければアドは取れているので気にする必要はないのかもしれない。)

現状は とりあえず2枚で試しているが、使い勝手しだいで採用枚数は変わりうる。 増やす場合に何を削るかは難しいが。

《攪乱プロトコル

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基本は3マナだが条件次第で2マナで唱えられる確定カウンター。

《勢団の銀行破り》との相性は特筆に値し、2マナとアンタップ状態の《勢団の銀行破り》を構えておけば、
相手が動いてきたときには《攪乱プロトコル》でカウンターし、動いてこなければ《勢団の銀行破り》でドローする、という動きが可能。

《襲来の予測》と置き換える形で2枚採用している。

《神の火炎》

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対クリーチャー/プレインズウォーカー用の、おまけ付き2マナ3点火力。 改善されているクリーチャーをコントロールしていれば本体にも2点飛ぶ。

赤と青の敵対者を採用しているURデルバーにおいて、改善されているクリーチャーを用意するのは難しくない。
アグロデッキ相手にライフレースで優位に立つことができるし、相手が対象をコントロールしている前提ならトドメにも使える。

是非とも採用したいが、現状では枠がない。

《炎の排出》

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対クリーチャー/プレインズウォーカー用のインスタントX火力。 改善されているクリーチャーをコントロールしていれば2点ダメージが増える。

こちらも敵対者を採用している関係上、ダメージを増やすことは割と簡単に行える。
条件を達成してしまえば1マナ2点、2マナ3点、3マナ4点と、X火力でありながら標準的な火力と遜色ない効率でダメージを与えられる。
また唱えた時点で条件を満たしているかを参照するので、スタックで改善されているクリーチャーが除去されても問題ない。

また、X火力でありながら赤敵対者と相性がいい点も見過ごせない。
赤敵対者は自身にカウンターを乗せた後に呪文のコピーを唱えるため、改善されているクリーチャーをコントロールしている扱いになり、2点ダメージを与えられる。
ただしカウンターを乗せて唱える能力がスタックに乗っている間に赤敵対者を除去された場合はダメージを与えられないので、そこは注意が必要。

現状ではメインに1枚試している。

《雲散霧消》

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打ち消した呪文を追放する確定カウンター。

《アールンドの天啓》が禁止カードになって《洗い落とし》を採用する必要がなくなったので代わりに採用(サイドに2枚)。
コントロール相手の追加のカウンターとして使う他、《勢団の銀行破り》をサイドアウトする場合に《攪乱プロトコル》の代わりに入れたりする。

《プリズマリの命令》

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2点ダメージ、2ドロー2ディスカード、宝物生成、アーティファクト破壊から2つ選べるインスタント。

新環境でアーティファクトが増えてきたため採用を検討している。
手札で腐った《呪文貫き》などを有効牌に換えられる点も高評価。

《ヴァラクートの覚醒》

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タップインで赤マナがでる土地、兼、手札の不要牌をドローに換えてくれるインスタント。 アドを失わないのが嬉しい。

新環境で《棘平原の危険》や《髑髏砕きの一撃》をスペルとして使いたい場面が増えてきたため、スペルランドの増量枠としての採用を検討している。
《プリズマリの命令》と同じく、手札で腐った《呪文貫き》などを有効牌に換えられるのは嬉しい。

このカードに割けるデッキスロットが今の所ないため検討止まり。


終わりに

とりあえず筆者がざっと思いついたカードは以上になる。

「これも使えるかも」といったカードが見つかったら、またその時に記事にして紹介したい。

また、「挙げられてなかったけど、これも使えそうだ」といったカードに心当たりのある方は、是非ともコメントを残してくれると幸いである。

*1:というのは厳密には間違いで、今までのスタンにも《一枚岩の防衛》 https://mtg-jp.com/products/card-gallery/0000192/491680/ という1マナのカウンターがあった。 しかしこちらは基本1マナしか要求しないため使い勝手が悪く、構築で見かけることはほぼ無かった。

スタンURデルバー解説

時の流れるのは速いもので、神河:輝ける世界の M:tG Arena への実装が今週末に迫ってきた。
そこで今回は、イニストラード:真夜中の狩り期およびイニストラード:真紅の契り期のスタンダードで筆者が使っていた(使っている)青赤デルバーについての記事を書こうと思う。
筆者の実力不足および調整不足により至らぬ点も多々あるとは思うが、こういうデッキもあるということを気に留めていただければ幸いである。

デッキリスト

以下が現行のデッキリストである。

Deck
1 Island (BFZ) 255
1 Mountain (BFZ) 265
4 Stormcarved Coast (VOW) 265
4 Shatterskull Smashing (ZNR) 161
4 Sea Gate Restoration (ZNR) 76
4 Jwari Disruption (ZNR) 64
4 Spikefield Hazard (ZNR) 166
4 Riverglide Pathway (ZNR) 264
4 Delver of Secrets (MID) 47
4 Spectral Adversary (MID) 77
2 Burn Down the House (MID) 131
1 Demon Bolt (KHM) 129
3 Fading Hope (MID) 51
3 Bloodthirsty Adversary (MID) 129
4 Expressive Iteration (STX) 186
3 Memory Deluge (MID) 62
2 Hall of Storm Giants (AFR) 257
3 Roil Eruption (ZNR) 155
1 Cathartic Pyre (MID) 133
2 Saw It Coming (KHM) 76
2 Heated Debate (STX) 106

Sideboard
2 Burning Hands (AFR) 135
2 Negate (ZNR) 71
1 Test of Talents (STX) 59
2 Wash Away (VOW) 87
3 Dreamshackle Geist (VOW) 58
3 Abrade (AKR) 136
2 Hullbreaker Horror (VOW) 63

https://gist.github.com/gintenlabo/7349b30998eb1351e6853994b434d87c/f9dc6bc642ac92d4e830189efec4acfbcd0663ac

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デッキコンセプト

《秘密を掘り下げる者》(以下デルバー)を速やかに変身させてビートダウンする。

これがこのデッキの狙いであり、最も多い勝ちパターンである。

このデッキのメインボードに含まれるカードでデルバーを変身させられるカードは60枚中37枚であり、これはこのデッキの実に6割強にあたる。
採用する土地をゼンディカーの夜明けのスペルランド*1にしたり、採用するクリーチャーの数を絞ることによって この比率を実現しているわけだが、
流石にこれだけスペルが多ければデルバーはほぼほぼ変身するし、めくったスペルがスペルランドの場合、そのターンに土地としてセットしてしまえば、対戦相手に情報アドを与えることもない。
デッキ全体の構成をデルバーに寄せることで、デルバーのポテンシャルを最大限に引き出し、かつデメリットを低減させているわけである。

しかし、それだけで勝てるほどスタンダードは甘くはない。

デルバーは変身前は1/1のひ弱なクリーチャーであり あらゆる除去に当たるし、変身した後であってもタフネスは2しか無いため除去されやすい。
また、そもそも60枚のデッキで4枚積みしたカードが初手7枚に含まれる確率はおよそ40%である。
デルバーが初手に来なかった場合、または初手には来たが除去されてしまった場合のゲームプランはどうしても必要になる。

そこで活躍するのが、青と赤の敵対者である。
これらは基本スペックが2マナの2点クロックと、デルバーにこそ劣るが悪くない水準のアタッカーであり、
デルバーが初手に来ない場合の序盤のゲームプランとしては十分である。

また、敵対者は、余ったマナをつぎ込むことで追加の効果を得つつサイズアップすることが可能になっている。
これらのクリーチャーと《ストーム・ジャイアントの聖堂》のおかげで、このデッキはアグロデッキでありながら消耗戦に強いのも魅力になっている。

各カード解説

それでは、デッキに採用されている各カードの解説に移ろう。

土地基盤

1 島
1 山
4 河川滑りの小道
4 嵐削りの海岸
2 ストーム・ジャイアントの聖堂

最低限の基本土地と、デッキの安定性を支える多色土地。
シャドウランドはスペルランドを大量に採用している関係上 採用できないため、この配分は必然である。
以前は二枚目の《ストーム・ジャイアントの聖堂》の枠に《プリズマリの学舎》を採用していたが、
序盤にアンタップインでき、終盤にフィニッシャーにもなる《ストーム・ジャイアントの聖堂》の方がデッキに合っているとの判断から《プリズマリの学舎》は不採用となった。

4 海門修復
4 髑髏砕きの一撃
4 ジュワー島の撹乱
4 棘平原の危険

各種スペルランド。
このデッキにおいてアンタップインできることは何よりも大事であるため、《海門修復》および《髑髏砕きの一撃》のフル投入は必然である。
残りの枠で何を採用するかだが、現状では除去やトドメとして使える《棘平原の危険》および存在自体が相手への牽制となる《ジュワー島の撹乱》をフル投入している。
他に候補に挙がるのが《ヴァラクートの覚醒》と《シルンディの幻視》であるが、
《シルンディの幻視》は終盤に必要なフィニッシャー(クリーチャーや《ストーム・ジャイアントの聖堂》)を直接探せず、
また《ヴァラクートの覚醒》は、手札で腐ったカードを有効牌に替えられる(かもしれない)ため悪くはないが、敵対者を採用している関係上 土地は不要牌になりにくいため有効に使える場面が意外と少なく、
どちらも わざわざ枠を割いて採用するほどではないという判断から、それぞれ不採用となっている。

クリーチャー

4 秘密を掘り下げる者

このデッキの顔。 除去に弱い、変身しないと打点が低い、変身するには引くカードを公開する必要があるため相手に情報アドを与える、といった弱点はあるものの、
1マナで出せる3/2飛行クリーチャーは それらの弱点を補って余りあるほど強い。 当然4枚投入だし、サイド後も まず減らさない。
対処されなければイージーウィンできるし、対処されても元手が1マナなので2対1交換とかされない限りはアドを失わないのが偉い。

3 血に飢えた敵対者
4 幽体の敵対者

このデッキの影の主役たち。《血に飢えた敵対者》はソーサリータイミングでアクションしなければいけない関係でスキを生じやすいため、ちょっとだけ減らしている。
このデッキがアグロデッキでありながらマナフラッドを許容できているのは、これらのカードの存在のおかげである。
《血に飢えた敵対者》は、クリーチャーデッキ相手には5ターン目に除去を擬似フラッシュバックしながら速攻で3点殴れるのが偉いし、
コントロールデッキ相手には6ターン目に土地を置く前に出して《表現の反復》を擬似フラッシュバックさせることでアドを得る動きが非常に強い。
《幽体の敵対者》は、4マナで自軍の他のクリーチャーをフェイズ・アウトさせて除去から守るのに使うのも強いし、
相手のアタッカーやブロッカーをフェイズ・アウトさせることでダメージレースを制する動きも強いし、
単純に瞬速持ちの飛行クリーチャーとして出すのも強い(その場合は対象不適正でカウンターが乗らないことを防ぐため誘発のフェイズ・アウトの対象は取らないこと)。

妨害

3 消えゆく希望

バウンス。 トークンを除去したり、攻撃を無理やり通したり、自軍のクリーチャーを除去から守ったり、デルバーの変身を補助したりと、できることは意外と多い。

(4 棘平原の危険)
3 乱動の噴火
1 安堵の火葬
2 白熱する議論
1 悪魔の稲妻

除去。 《乱動の噴火》は本体に飛ぶのでトドメにも使えるし、土地が結構並ぶ このデッキだとキッカーすることも多い。
《安堵の火葬》はインスタントの2マナ3点火力が必要だったため入れいているが、この枠はメタに合わせて変更できる枠である。
4点火力は、黒デッキを相手にした時に護法を貫通できる《白熱する議論》を優先しているが、予顕すれば1マナで構えられる《悪魔の稲妻》も強いため散らしている。

(4 ジュワー島の撹乱)
2 襲来の予測

カウンター。 《血に飢えた敵対者》で擬似フラッシュバックできないため枚数は抑えめ。
ここは好みによって変えていいが、筆者は予顕すれば構えやすくなる(かつハンデスにも強くなる)《襲来の予測》が好み。

2 家の焼き払い

全除去兼クロック兼チャンプブロッカー生成。
ピン除去だけでは相手の攻勢を捌ききれない場合のために採用している。 コントロールデッキ相手には3点クロックとして機能するので無駄がない。
また、飛行クロックを多用する関係上、空から殴ればあと数ターンで殴りきれるけどその前にやられそう…って場合にチャンプブロッカー生成として使う場面もかなり多い。

ドローソース

4 表現の反復

マナスクリューもマナフラッドも受けられる最強のドロソ。 青赤にする理由の7割くらいはこのカードにある。
メインは当然フル投入だが、アグロデッキ相手の場合はサイド後に枚数を減らすケースも多い。が、完全に抜くことは無い。
《血に飢えた敵対者》との組み合わせは凶悪の一言。

3 記憶の氾濫

追加のドロソ。 強力だが複数枚引きたくはないので3枚。
《表現の反復》とは違い、アグロデッキ相手の場合は全抜きするケースも多い。

サイドボード

2 否認
1 才能の試験
2 洗い落とし

追加のカウンター。 コントロールデッキ相手に入れる。
《洗い落とし》は天啓メタで入れていたが禁止改訂で消滅したので別のカウンターの方がいいかもしれない。
《否認》はコントロールデッキ以外にも幅広く入る。

2 バーニング・ハンズ
3 削剥

追加の除去。 白単緑単には全部入れる。

3 夢鎖の霊

追加の生物その1。 こちらは除去の薄いクリーチャーデッキ全般に入れる。
空から3点クロックで殴りつつ相手のクロックを減速させられるので、ダメージレースを大幅に有利にしてくれる。
また相手のブロッカーをタップすることでブロックされやすい《血に飢えた敵対者》の攻撃を通すといった芸当も可能。

2 船砕きの怪物

追加の生物その2。 こちらはコントロール相手に入れる。
軸をずらした攻めが可能になるので強い。 相手の《ストーム・ジャイアントの聖堂》を一方的に討ち取れるのも強い。

プレイガイド

キープ基準

相手がわからない場合は、青マナと赤マナが両方出せてクロックがあるなら基本キープで問題ない。

赤マナが出なくても1ターン目と2ターン目にデルバーを連続して出せるならキープしても良い。結果的に事故って負けても泣かない。

後手の場合はクロックがなくても除去があるならキープを検討して良い。

サイド後は当然マリガン基準は厳しくなる。 特に対アグロの場合は除去のないハンドをキープしてはいけない。
ただしデルバー複数枚と《夢鎖の霊》が出せるならダメージレースで勝てる公算が高いのでキープして問題ない。

対コントロールは土地の枚数が重要なので土地があるならキープして大丈夫。

プレイ指針

相手より先に殴りきれそうならダメージレースを挑み、そうでなければ消耗戦に持ち込むのが大原則。

特にメインはアドを取れるカードが多いので消耗戦を恐れないこと。

スペルランドを土地としてプレイするか呪文として使う(あるいは構える)かで悩んだら土地としてプレイするほうが良い。
このデッキは土地が伸びれば伸びるほど強いデッキである。
呪文として使ったほうが良い状況なら悩まないはず。

1ターン目にアクションがなく土地をタップインする場合は、トップが《ストーム・ジャイアントの聖堂》であった場合に備えて赤マナから置くべき。
デルバー出したいのにタップインの青マナ源しかないケースはもちろん例外で、その場合は青マナから置いていく。

相手のライフを削れる時に削っておくことは大事。 このデッキのリーサル圏は意外と広い。
一例だが、手札に《乱動の噴火》《血に飢えた敵対者》とあって7マナ出せて相手の場にブロッカーがいない場合、《乱動の噴火》を手札からキャスト→《血に飢えた敵対者》で《乱動の噴火》を疑似フラッシュバック→《血に飢えた敵対者》で殴る、という流れで9点のライフを削れる。

サイドボーディング

デッキごとに挙げるとキリがないので大まかな指針だけ書く。

アグロデッキ相手はドロソを抜いて除去を入れる。 相手の除去が薄そうなら《夢鎖の霊》も入れる。
ドロソ抜いても《血に飢えた敵対者》がいればアドは取れる。墓地追放には要注意。
《表現の反復》は《血に飢えた敵対者》で疑似フラッシュバックできるので全部は抜かないこと。

コントロールデッキ相手はカウンターを入れて除去を抜く。 ただし《乱動の噴火》と《白熱する議論》に関しては全部は抜かない方がいいケースが殆ど。
《船砕きの怪物》もサイドインする。 攻め手は多彩な方がいい。
ただし《家の焼き払い》は抜くべき。 流石にソーサリータイミングの5マナアクションは重いし、結果として得られるのが3点クロックでは割に合わない。
《夢鎖の霊》も対コントロールでは弱いのでサイドインしてはいけない。

ミラーは経験ないので分からない。 たぶんカウンター抜いて除去を増やすのがいいと思う。

全般に言えることだが、生物を増やしてスペルを抜くとデルバーの変身確率が減ることは注意するべき。
それが嫌なら《幽体の敵対者》《血に飢えた敵対者》を抜く。 デルバーはブン回りに寄与するので抜かないほうがいい。

現状の課題

マナベースが弱い。
このデッキは1ターン目にデルバーを出したいデッキである。
そのためには1ターン目にアンタップインする青マナ源が14枚必要になる*2が、現状で11枚しかない。
《河川滑りの小道》を赤で置かなければならないケースを考えると、1ターン目にデルバーを出せる確率は かなり低くなってしまっている。

神河:輝ける世界でのアップデート

《呪文貫き》は流石に入ると思う。 代わりに抜くのは《消えゆく希望》辺りが無難か。

クリーチャー構成に関しては、メインボードでは現在のデルバー+敵対者の組み合わせが強いので多分変化しない。
サイドインする生物は変わるかもしれない。

母聖樹がどれくらい使われるかは未知だが、環境に蔓延るようならスペルランドを削って基本土地を増やすべき。

*1:モードを持つ両面カードのうち、第二面が土地であるカードの総称

*2:参考: https://article.hareruyamtg.com/article/article_2756/

《表現の反復》の隠された効果について

Magic: the Gathering の公式から、1月25日付で禁止改訂がある旨が発表された。

そこで今回の記事では、個人的に禁止カードに指定される可能性が高いと考えているカード、《表現の反復》の隠された効果について語ろうと思う。

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どんなカードなの?

《表現の反復》は青赤2マナのソーサリーで、以下のテキストを持つ。

表現の反復 (青)(赤)
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上からカード3枚を見る。それらのうち1枚をあなたの手札に加え、それらのうち1枚をあなたのライブラリーの一番下に置き、それらのうち1枚を追放する。このターン、あなたはその追放されたカードをプレイしてもよい。

要するに、山札のカードを上から3枚見て、そのうち1枚は手札に加わり、そのうち1枚は このターン中なら 手札にあるかのように使える状態になり(このターンに使わなかった場合には追放されたままになる=ほぼ使えなくなる)、残りは山札の一番下に送られる、というカードだ。

強いの?

強い。詳しくはこの記事を読んで欲しい。
article.hareruyamtg.com
簡単に言うなら、色さえ合っていれば、ほぼ全てのデッキに入るだけのポテンシャルを秘めたカードである。

で、隠された効果って?

3ターン目、手札に土地がない状況で、《表現の反復》を土地を探す目的で使用したときのことを考えよう。
めくれた3枚に土地が含まれていなかった場合、そのターンの《表現の反復》は無駄な行動だったのだろうか?

そうではない。

なぜなら、《表現の反復》で見たライブラリーの上から3枚に土地がないということは すなわち、仮に《表現の反復》を使わなかったなら、その土地以外の3枚を3ターンかけて引かされていた、ということになるからだ。
そうなっていたら、恐らく簡単にゲームに負けていたことだろう。
これは、マナフラッドした状況でも、同じことが言える。
土地が十分にある状況で《表現の反復》をトップデッキ、喜んで唱えたら めくれたカード3枚は全て土地だった、という経験をしたプレイヤーは多いことだろう。
確かに これは望んだ結果ではない。しかし、仮に《表現の反復》を唱えていなければ、3ターン連続で土地を引かされていたのである。それを回避できただけで《表現の反復》を撃った価値は十分にあったとは考えられないだろうか?
望んだカードを見つけられなかった《表現の反復》は、一見すると弱い。しかし実際には、ドローを進めることにより、望んだカードを手に入れられるターンを早めているのだ。
しかも、めくれた3枚のうち、その状況において最も強いカードを手札に加えながら、である。*1
もちろんこの「ドローを進める」効果は、《表現の反復》に限ったことではなく、他のドロソでも同じことが言える。*2
しかし《表現の反復》は、なまじアドバンテージ獲得能力が高いため、スカった場合に悪い印象を抱きがちである。
そういう時に「でもこの《反復》がなかったら もっと悪い結果になってたな」と考えられるようになっておくと、プレイに余裕ができて良いのではないかと考える次第である。

*1:マナフラッドした際に土地3枚がめくれたケースでも、土地が伸びれば次の《表現の反復》を引いた時に より強く使えるし、手札があればブラフにもなる。

*2:例えば《考慮》はドローを最大2枚進められるし、《定業》はドローを最大3枚進められる。 例外は《渦まく知識》で、シャッフル手段がない状態で目当てのカードを見つけられなかった《渦まく知識》は悲惨である。

if(cond) と if(cond == true) は同じ意味ではない

if(cond)コンパイルは通るが、 if(cond == true) と書くとコンパイルが通らない例がある。

struct bool_ {
  bool value;
  constexpr explicit operator bool() const noexcept {
    return value;
  }
};

int main() {
  bool_ x{true};
  if (x == true) {
    // do something
  }
}

http://melpon.org/wandbox/permlink/jCXG8WMDTBLhvWI2


C++03 でも operator== のオーバーロードで似た問題が起きるケースが有ったが、 C++11 で explicit operator bool が登場し、広く使われるようになったことで、この問題に遭遇する機会が増えている。
魔黒などを使う場合には注意が必要だ。

データメンバを見ると循環参照してないのに shared_ptr のせいで循環参照になるケース


実例.

#include <memory>
#include <iostream>

struct hoge {
  hoge() {
    std::cout << "hoge::hoge()\n";
  }
  ~hoge() {
    std::cout << "hoge::~hoge()\n";
  }

  std::shared_ptr<int> p;
};

int main() {
  auto p = std::make_shared<hoge>();
  p->p.reset(new int(), [p](int*){ (void)p; });
}

http://melpon.org/wandbox/permlink/QoDsygLC97QtZYsz