第0回「必要なものとか」


それでは、講座本編に移ろう。
繰り返しになるが、本講座の目的は、Windows環境におけるプログラミング、特にDirectXを用いたゲームプログラミングを、無料で入手できるツールのみを用いて行おう、というものである。
本講座を受けるにあたって、前提知識などは特に必要ないが、専門用語などの説明も特に行わない。分からないことがあれば自力で検索できること、これが本講座を受けるに当たって必要な資質である。
また、本講座ではプログラミング言語としてC++を用いるが、その際には標準C++言語の最先端機能(主に「テンプレート」と呼ばれるもの)を多用したコードを書く予定である。それらの機能についても、詳しい説明は特に行わないので、不安な方は予め自力で勉強しておくと良いだろう。また、そのような機能を使う都合上、「BCC」や「VisualC++ 6.0」などの所謂「古い」コンパイラを使っている場合、本講座のソースコードコンパイルできない可能性があるので、その際にはこれから紹介するコンパイラを使用すると良い。


と、諸注意はこれまでにして、早速製作に移る・・・その前に、本講座で使用するツールを用意する処から始めよう。
プログラミングに最低限必要なものは、二つある。すなわち、「エディタ」と「コンパイラ」である。
まず「エディタ」とは、プログラムの「ソースコード」を編集するためのものである。「ソースコード」とは、要するにプログラム本体のことであるが、その正体は単なるテキストファイルであり、世に出回るテキストエディタを使えば簡単に編集することが出来る。テキストエディタは、例えばVectorなどのサイトに行けば幾らでも探すことが出来るし、最悪、Windows付属の「メモ帳」を使っても良い(機能的には貧弱なので、お勧めは出来ないが)。なお参考までに、筆者は「TeraPad」なるフリーウェアを用いてプログラムを編集している。特に便利なエディタというわけではないが、最低限の機能はあるので、選択に困ったら使うのも良いかもしれない。

次に「コンパイラ」とは、「エディタ」によって作成した「ソースコード」を、実際にWindows上で実行するプログラム(.exeとか)にするためのツールである。本講座では、コンパイラとして「CygWin」を用いる。これは本来 Windows環境上でUNIX環境を再現するためのツールであるが、このツールに付属するC++コンパイラはフリーのコンパイラの中でも特に性能が良いし、またCygWinの提供するUNIX環境は、それ自身プログラミングにおいて非常に便利であるためだ。CygWinの導入や設定の方法については、Googleで検索するなりして、自力で何とかしてみよう。CygWin本体の導入が終わったら、「DirectX 9.0c」(DirectXのゲームを作るのに必要)と「Boost C++ Library」(C++を使う上で超便利なライブラリ)も導入すること。これも検索して自力で何とかしてみよう。ここで細かく教えることも出来るが、「分からないことは自力で調べる」癖をつけておけば、後々に困難にぶつかった際、役に立つだろう。


以上で、とりあえず必要なツールは終わりである。
他に、有っても無くても良い程度のツールとして、ファイルを一覧管理するためのエクスプローラソフト、絵を自作するためのグラフィック編集ソフト、BGMを自作するためのMIDI編集ソフトや音源などがあるが、あくまでこれらは補助的なものである。
というわけで、次回までに「エディタ」と「コンパイラ」の使い方を習熟しておくこと、これを今回の「課題」としたい(無論、任意である)。
具体的には、

  1. 「ハローワールド」と呼ばれるソフトについて調べ、それを製作し実行すること
  2. CygWin上でWindowsアプリケーションを作る方法について調べ、実行すると空のウィンドウが開くようなソフトを製作すること
  3. DirectXを用いた最低限のソフトを調べ、製作してみること。フルスクリーン表示が出来る程度でよい。

これらを試してみて欲しい。答え合わせ、というか作成例は次回の冒頭で行いたいと思う。
それでは次回の講座まで、ごきげんよう